2013年1月20日日曜日

FACTA2月号(1月20日発売)の記事まとめ

FACTAの2月号が出ました。今回も興味深い内容がたくさんありましたが、その中から6つだけ記事を紹介します。

1.レオパレスの「悪徳商法」
(http://facta.co.jp/article/201302036.html)
 レオパレスは「30年間借り上げて空室でも賃料を支払う」と言って遊休地を持つ地方農家を巧みに勧誘してアパート建設資金を借り入れさせ、アパートの建設から管理までを一貫して請け負い、管理手数料を取るといったビジネスモデルで急成長しました。リーマンショック前までは。しかし、リーマン・ショック後は半数近くにものぼる法人契約が激減し、管理物件数を圧縮する必要に迫られて一方的な契約破棄を行なうことになってしまったようです。これに安普請のアパートの修繕費用もかさみ、30年借り上げモデルは破綻してしまったようです。個人的には一方的にレオパレスのやり方を「悪徳商法」と言ってしまうことには抵抗を感じますが、いずれにせよこういったビジネスモデルはWin-Winでなくなった時点で崩壊するものなので仕方がありませんね。

2.消費税率「ゼロ」を訴える日本医師会
(http://facta.co.jp/article/201302049.html)
 今まで知らなかったのですが、医療費って「ゼロ税率」(=消費税の差額が還付される)じゃなく「非課税」(=消費税の差額が還付されない)だったんですね。つまり、製薬会社等には消費税を支払うのに患者からは消費税が取れないので、その差額は全部損税として医療機関が負担していたわけです。もちろんその分はお上が診療報酬に上乗せしてくれたわけですが、ここ最近は医師会の力が衰退してしまったため、なかなか実体に合った上乗せ額にはなっておらず病院経営を圧迫している様です。このまま消費税が8%や10%になったら立ちゆかなくなる病院もたくさん出てくるということで、医師会は危機感を持っているようです。



3.南ア「BRICS」脱落の危機
(http://facta.co.jp/article/201302042.html)
 南アフリカの失業率は公式でも25%といわれ、適切な住居や清潔な飲み水が与えられず、HIV感染による死亡者数は一日1000人に達し、医療施設も公衆衛生も遅れ、乳児死亡率は6.6%、教育も受けさせることができず、教師も荒廃しており教師による女生徒のレイプもしばしば報告されるという未だひどい状況が続いています。しかし、今回南アの与党アフリカ民族会議(ANC)は総会でシリル・ラマポーザという注目すべき人物を副党首に選出したそうです。ラマポーザはビジネスにも明るく、汚職の取締にも取り組む様なので、将来的に彼が大統領になれば南アも今のズマ大統領よりはかなりマシになるのではないでしょうか。


4.レアアース「脱中国」の大嘘
(http://facta.co.jp/article/201302046.html)
 ここ最近、大手メディアがこぞって「日本企業の努力の結果、レアアースの中国依存から脱却に成功、レアアースバブルも崩壊、中国の生産者は悲鳴を上げてる」と報道しているのが目立ちます。でも実際はちょっと事情が違って、レアアース総合対策で経産省が投じた1300億円は無駄金になりそう、という話でした。2010年以降の中国の輸出規制でレアアースバブルが起こっていましたが、この際に危機感を抱いたメーカーが猛烈な勢いで在庫を積み増したようです。そして現時点ではレアアース在庫がかなりダブついており、含み損も抱えてにっちもさっちもいかなくなっているということでした。また、中国への依存度が見かけ減っているのは、フランスなどが中国からレアアースを購入して日本に売っているだけで、中国依存は全く変わっていないとのこと。非常に考えさせられる記事です。

5.ヤフー・ニュース「独り勝ち」鮮明に
(http://facta.co.jp/article/201302031.html)
 数あるニュースポータルの中でもヤフー・ニュースは月間50億PVと朝日新聞デジタルなどとくらべてもおよそ10倍と、まさにケタ違いの「独り勝ち」状態になっています。新聞各社は有料購読者を増やすためにヤフーに記事を載せて自社サイトへの誘導を試みてますが、最近では一部の記事だけとはいえ日経新聞以外はほとんど読めるため、わざわざ新聞をとらなくてもヤフー・ニュースの記事だけで満足してしまう人も多く有料購読者減につながると指摘する人もいるとのことです。そこで新聞各社はソーシャルメディアとの連携を試みヤフー・ニュースからの脱却を図ってますが、経営の厳しい産経新聞や毎日新聞にとっては億単位の記事提供料が無くなるのは痛いため記事を止めるわけにもいかないというのが現状のようです。

6.実需喚起でデフレ脱却 平成の高橋是清めざす
(http://facta.co.jp/article/201302006.html)
 組閣直前の12月20日の麻生さんのインタビュー記事です。メディアでは三本の矢の内、1本目の金融緩和とインフレターゲットばかりを報道していますが、残りの2本、「雇用を生む様なものに設備投資してもらうことを狙って財政を出動させる」、更に「規制緩和」など「企業が持っているカネを使いたくなるような経済成長戦略をきちんとやる」といったことについて具体例を交えながら答えていました。「日本のGDPのうち輸出に頼っているのは11%程度。ドイツは4割、中国3割強で、G20で日本より輸出比率が低いのはアメリカとブラジルくらい」ということで内需第一とも言ってます。また「法人税を払っていなかった輸出企業」から税収をあげるために「円安」にするといった話も。